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「神々を迎える町を散策」

 私は一畑電鉄「松江しんじ湖温泉駅」の入口付近にある名物「足湯」に浸かっていました。「ふぅ〜」染み渡ります。腕時計に目をやり、時間を確認した私はタオルで足を拭き改札口に向かいました。

電鉄大社駅.jpg

 宍道湖を進行方向左手に見ながら黄色い車体は進み私は電車に乗って出雲大社のある大社町へ向かいました。途中「川跡駅」で乗換え、私の乗り込んだ一両列車は田園風景の中をずんずん進み「出雲大社前駅」へ到着。ここの駅舎は1996年に国の登録有形文化財建造物として登録された貴重な西洋建築で、ステンドグラスから差し込む明かりが特徴的なモダンな駅になっています。出入り口を出ると前には出雲大社の神門通り(しんもんどおり)が左右に走っており、右手に進むと出雲大社、左手に進むと大鳥居や旧JR大社駅などがあります。車で行って駐車場から参ろうとすると横道から境内に入ってしまいますが、この駅からだときちんと参道を通って正面からお詣りに行けるので便利です。このまま、参道の松並木を通って出雲大社へ詣ろうかと思っていましたが、あまのじゃくな私は予定を変更!大社の町の中を歩いてみようと思い立ち、右でも左でもなく稲佐の浜を目標としてまちのスキマに入っていきました。

大鳥居.jpg

 大社のまちを歩いていると、多くの家の軒先に花が飾ってあるのがやたらと目に着きました。竹で作った筒の中に生けてある花で「?」と思い人に聞くと、その筒は「潮汲み」といって、出雲大社の氏子さんが身や家を清めるときに稲佐の浜の潮を汲むものらしく、それを活用して季節の花などでまちを飾っておられるそうです。さりげないですが、こういう光景を見るとなんだか嬉しくなります。そのまま私は暖簾をくぐり一軒のそば屋に入りました。大社のまちなかには十数軒のそば屋があり、歩いていると自然と目に入ってきます。割子そばをいただき一息「ふぅ〜」そばの良い香りと、味が身体に染み渡ります。

潮汲み.jpg

 最後に「そば湯」を飲み、店を出た私は、一旦国道431号線に出て歩き出しました。海まで約1キロの間には歌舞伎踊りを創始した人として知られている“出雲阿国の墓”や現代の歌舞伎俳優たちが寄進した“阿国の塔”などがあり、ふらふらっと立ち寄りながら歩いていると、稲佐の浜が見えてきます。突き当たりのT次路の先には日本海が広がっていて、夕日が沈むときなどは誰もが「うっとり…」と、してしまう光景です。稲佐の浜は、古事記に神々によって国譲りの話し合いが行われた場所と記されていたり、今でも神々を迎える神事が脈々と行われたりする長さ300・くらいの砂浜です。「出雲風土記」の巻頭を飾る「国引き神話」の場所でもあり、昔、出雲国の八束水臣津野命(やつかみずおみつのみこと)が「国来い、国来い」と言いながら太い綱で新羅(今の韓国の南部)から余った土地を出雲に引き寄せた(!?)ときの綱が、稲佐の浜になったと言われています。そんな壮大な話を思い浮かべながら、ここの海を見たりするのもいいかもしれません。私は、水平線に沈む夕日を背にしてバスに乗り、駅に向かいました。

稲佐の浜.jpg

 

旅人=川瀬篤志[まちかど研究室]

Last modified:2007/01/29 15:22:24
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References:[出雲編]